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神戸地方裁判所 平成8年(ワ)1816号 判決

原告

植田たつ子

ほか三名

被告

大同通運株式会社

ほか一名

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告植田たつ子に対し、連帯して金一四九一万〇八七一円及びこれに対する平成七年八月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告柴田雅子に対し、連帯して金一〇四〇万九三三三円及びこれに対する平成七年八月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告植田通孝に対し、連帯して金二〇九五万二一七八円及びこれに対する平成七年八月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告らは、原告井上泉に対し、連帯して金一〇四〇万九三三三円及びこれに対する平成七年八月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、後記交通事故(以下「本件事故」という。)により死亡した訴外亡植田旭(以下「亡旭」という。)の相続人である原告らが、被告大同通運株式会社(以下「被告会社」という。)に対しては自動車損害賠償保障法三条に基づき、被告船橋敏郎(以下「被告船橋」という。)に対しては民法七〇九条に基づき、損害賠償を求める事案である。

なお、付帯請求は、本件事故の発生した日から支払済みまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金である。

また、被告らの債務は、不真正連帯債務である。

二  争いのない事実等

1  交通事故の発生(当事者間に争いがない。)

(一) 発生日時

平成七年八月一一日午後五時四五分ころ

(二) 発生場所

兵庫県加西市北条町北条七一四番地の一先 信号機により交通整理の行われている交差点(以下「本件交差点」という。)

(三) 争いのない範囲の事故態様

亡旭は、原動機付自転車(加西市み八七六。以下「原告車両」という。)を運転し、本件交差点を東から北へ右折しようとしていた。

他方、被告船橋は、普通貨物自動車(神戸一一え五〇五三。以下「被告車両」という。)を運転し、本件交差点を西から東へ直進しようとしていた。

そして、本件交差点内で、原告車両の前部と被告車両の前部とが衝突した。

2  亡旭の死亡(当事者間に争いがない。)

亡旭は、本件事故により脳挫傷の傷害を負い、これが原因で、本件事故発生の日である平成七年八月一一日午後九時、死亡した。

3  相続関係(甲第一一号証、弁論の全趣旨により認められる。)

亡旭の相続人は、妻である原告植田たつ子、及び、子である原告柴田雅子、原告植田通孝、原告井上泉である。

4  責任原因(被告会社については当事者間に争いがなく、被告船橋については検甲第一ないし第三号証、乙第一号証、被告船橋の本人尋問の結果により認められる。)

被告会社は、被告車両の運行供用者であるから、自動車損害賠償保障法三条により、本件事故により亡旭及び原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

また、被告船橋敏郎は、本件事故に関し、前方不注視、最高速度違反の過失があるから、民法七〇九条により、本件事故により亡旭及び原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

三  争点

本件の主要な争点は次のとおりである。

1  本件事故の態様及び過失相殺の要否、程度

2  亡旭及び原告らに生じた損害額

四  争点1(本件事故の態様等)に関する当事者の主張

1  被告

亡旭は、本件交差点を右折するにあたり、交差点手前約二〇メートルの地点から反対車線上に進入して早廻りに右折しようとした過失がある。

なお、被告船橋は、これを発見して直ちに自車に急制動の措置を講じたが及ばず、本件事故に至ったものである。

したがって、本件事故は、交差点内における直進車両と対向右折車両との事故であるが、単に、右折車両のセンターラインオーバーとも評価することができるものである。

よって、相応の過失相殺がなされるべきである。

2  原告ら

被告車両の進行する道路の最高速度は、四〇キロメートル毎時と指定されていたが、被告車両は、本件事故直前、これを大幅に上回る時速約一〇〇キロメートルで走行していた。

これに対し、亡旭は、時速約一五キロメートルで原告車両を運転し、本件交差点の相当手前から方向指示器を点滅させて、慎重に本件交差点を右折しようとしていた。

したがって、本件事故は、ひとえに被告車両が制限速度を無視した暴走ともいえる猛スピードで進行したことによるものであり、亡旭には、過失相殺の対象となるべき過失は存在しない。

五  証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

六  本件の口頭弁論の終結の日は平成九年一一月一八日である。

第三争点に対する判断

一  争点1(本件事故の態様等)

1  検甲第一ないし第七号証、乙第一号証、被告船橋敏郎の本人尋問の結果によると、本件事故の態様に関し、前記争いのない事実のほかに次の事実を認めることができる。

(一) 本件交差点は、ほぼ東西に走る道路とほぼ南北に走る道路(ただし、本件交差点から南に向かう道路は、真南よりもやや東寄りの方向に向かっている。)とからなる十字路である。

このうち、東西道路は、片側一車線、両側合計二車線の道路であり、車道部分の幅員は一車線につき約三・〇メートルで、本件交差点の東側では、この外に北側では約一・一メートル、南側では約〇・七メートルの各幅員の路側帯がある。

また、本件交差点の四つの角は、それぞれ湾曲した曲線からなり、車両が右折又は左折しやすくなっている。

なお、東西道路の最高速度は、四〇キロメートル毎時と指定されている。

(二) 本件事故の直前、被告船橋は、時速約七五キロメートルで被告車両を運転していた。

そして、同被告は、本件交差点の手前にさしかかった時、前方約八二・九メートルの地点に、道路の中央線あたりを対向直進してくる原告車両を初めて認めた。

また、右地点から約一六・七メートル進行した地点で、原告車両が、自車の進行する東行き車線内に進入して、前方約五九・七メートルの地点に対向直進してくるのを認め、危険を感じ、直ちに自車に急制動の措置を講じた。

(三) しかし、被告車両は右地点から約三九・八メートル走行し、本件交差点内で、原告車両の前部と被告車両の前部とが衝突した。

なお、右衝突地点は、本件交差点の東北角であり、東行き車線と外側の路側帯とを画する白線の延長線よりも北側の部分である。そして、これは、被告船橋が、被告車両に急制動の措置を講じた際に、無意識のうちにハンドルを少し左に切ったためである。

また、右衝突後、被告車両は約二・〇メートル前進し、前のバンパーに原告車両をつけた状態で停止した。他方、亡旭は、右衝突の衝撃で原告車両から投げ出され、右衝突地点から約八・九メートル東側で、本件交差点より東の東行き車線の北側の路側帯付近に転倒した。

なお、原告車両は、右側方向指示器が点滅したままの状態にあった。

(四) 本件事故の後、本件事故の発生場所付近には、被告車両のスリップ痕が残された。

このうち、後輪のスリップ痕は、被告車両に急制動の措置が講じられた地点付近から本件交差点の中央部にかけて、右約一八・四メートル、左約二八・四メートルの長さで、前輪のスリップ痕は、被告車両が停止する直前の付近に、右約〇・六メートル、左約二・九メートルの長さで、それぞれ残された。

2  右認定に反し、原告らは、被告車両の速度は時速約一〇〇キロメートルであった旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。かえって、甲第二〇号証によると、原告らの依頼した北海道自動車短期大学助教授である茄子川捷久は、本件で提出された関係証拠をもとに、本件事故直前の被告車両の時速を、七四・九ないし七七・四キロメートル、七六・九キロメートル、八五・三ないし八八・一キロメートルとする三つの結果を記入した意見書を作成したことが認められ、これをも斟酌して、本件事故直前の被告車両の時速を認定した次第である。

また、原告らは、被告車両は、本件事故後、本件交差点の東外側にある信号柱に衝突した旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、右に認定した前輪のスリップ痕及び前のバンパーに原告車両をつけた状態で停止したという被告車両の状態に鑑みると、右に判示したとおり、本件事故後、被告車両は本件交差点内部で停止したことを優に認定することができる。

3  右認定事実によると、被告船橋は、最高速度を大幅に上回る速度で被告車両を運転し、このため、自車に急制動の措置を講じたが及ばずに本件事故を招いたのであるから、その過失はきわめて重大である。

他方、軽車両を除く車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側を徐行しなければならず(道路交通法三四条二項)、さらに、この場合において、当該交差点において直進しようとする車両があるときは、この進行妨害をしてはならない(同法三七条)。にもかかわらず、右認定事実によると、亡旭は、右各注意義務に違反し、本件交差点の相当手前(乙第一号証によると、本件交差点の東端付近に位置する衝突地点から少なくとも約一八・九メートル東側の地点)から反対車線である東行き車線に進入し、対向直進してくる被告車両よりも先に本件交差点を右折しようとしていたことが優に認められるから、亡旭の過失もきわめて重大であるといわざるをえない。

そして、右に認定した本件事故の態様によると、本件事故に対する過失の割合を、亡旭が五〇パーセント、被告船橋が五〇パーセントとするのが相当である。

二  争点2(亡旭及び原告らに生じた損害額)

争点2に関し、原告らは、別表の請求欄記載のとおり主張する。

これに対し、当裁判所は、以下述べるとおり、同表の認容欄記載の金額を、亡旭及び原告らの損害として認める。

1  亡旭の損害

(一) 治療費

甲第一二号証の二ないし五、弁論の全趣旨によると、おりた外科・胃腸科の診療費金一万四〇五〇円、西脇市立西脇病院の診療費金一〇万六〇七〇円、同病院の文書料金一万一三三〇円、寝台車代金一万五〇〇〇円、以上合計金一四万六四五〇円を認めることができる。

なお、甲第一二号証の一によると、原告らはこのほかに、御礼用和菓子代金七六六二円を請求するが、その発生を認めるに足りる証拠はない上に、仮にこれが発生していたとしても、これを直ちに本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。

(二) 逸失利益

(1) 給与収入

甲第四、第五号証、第一一号証、弁論の全趣旨によると、亡旭は、本件事故時に満七二歳であったこと、同人は加西西部土地改良区の事務局長の職にあったこと、同人の給与収入は年額で少なくとも金二六八万四七一三円あったことが認められる。

また、後記のとおり、亡旭には相当の年金収入があったことが認められる本件では、弁論の全趣旨により、同人の死亡による右給与収入の逸失利益を算定するにあたっては、同人が本件事故後も三年間はなお右収入を得られた蓋然性が高かったものとして、生活費の控除を三〇パーセントとし、中間利息の控除につき新ホフマン方式によるのが相当である(三年間の新ホフマン係数は二・七三一〇)。

したがって、右給与収入の逸失利益は、次の計算式により、金五一三万二三六五円となる(円未満切捨て。以下同様。)。

計算式 2,684,713×(1-0.3)×2.7310=5,132,365

(2) 地方公務員等共済組合法による退職共済年金

甲第六号証によると、亡旭は、公立学校共済組合から、地方公務員等共済組合法所定の退職共済年金の支給を受けていたこと、本件事故当時の右年金額は金三六三万三八〇〇円であったことが認められる。

そして、これらによると、同人の死亡による右年金の逸失利益を算定するにあたっては、同人が本件事故後も一二年間はなお右収入を得られた蓋然性が高かったものとして(右年数は、平成六年簡易生命表による満七二歳の男性の平均余命一一・八二年を斟酌した。)、生活費の控除を四〇パーセントとし(給与収入がなくなり、年金収入のみとなる期間は生活費の割合が増加するのが一般であり、弁論の全趣旨により、通算して右割合を控除するのが相当であると判断した。以下同様。)、中間利息の控除につき新ホフマン方式によるのが相当である(一二年間の新ホフマン係数は九・二一五一)。

したがって、右年金の逸失利益は、次の計算式により、金二〇〇九万一四九八円となる。

計算式 3,633,800×(1-0.4)×9.2151=20,091,498

(3) 厚生年金保険法による老齢厚生年金

甲第八号証によると、亡旭は、厚生年金保険法所定の老齢厚生年金の支給を受けていたこと、本件事故当時の右年金額は金四九万〇七〇〇円であったことが認められる。

そして、これらによると、同人の死亡による右年金の逸失利益を算定するにあたっては、同人が本件事故後も一二年間はなお右収入を得られた蓋然性が高かったものとして、生活費の控除を四〇パーセントとし、中間利息の控除につき新ホフマン方式によるのが相当である(一二年間の新ホフマン係数は九・二一五一)。

したがって、右年金の逸失利益は、次の計算式により、金二七一万三一〇九円となる

計算式 490,700×(1-0.4)×9.2151=2,713,109

(4) 厚生年金保険法による老齢厚生年金

甲第一〇号証によると、亡旭は、厚生年金保険法所定の厚生年金基金の年金たる給付を受けていたこと、本件事故当時の右年金額は金八万二〇〇〇円であったことが認められる。

そして、これらによると、同人の死亡による右年金の逸失利益を算定するにあたっては、同人が本件事故後も一二年間はなお右収入を得られた蓋然性が高かったものとして、生活費の控除を四〇パーセントとし、中間利息の控除につき新ホフマン方式によるのが相当である(一二年間の新ホフマン係数は九・二一五一)。

したがって、右年金の逸失利益は、次の計算式により、金四五万三三八二円となる

計算式 82,000×(1-0.4)×9.2151=453,382

(5) 小計

(1)ないし(4)の合計は、金二八三九万〇三五四円である。

(三) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、その結果、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により亡旭に生じた精神的損害を慰謝するには、金一五〇〇万円をもってするのが相当である。

なお、後に判示するとおり、本件においては、原告らの請求にしたがい、亡旭の相続人である原告ら固有の慰謝料も認定したので、亡旭の慰謝料を算定するにあたっては、このことも考慮した。

(四) 合計

(一)ないし(三)の合計は、金四三五三万六八〇四円である。

2  原告植田たつ子の請求

(一) 損害等

(1) 相続分

原告植田たつ子は、亡旭の妻であるから、前記亡旭の損害の二分の一に相当する金二一七六万八四〇二円を相続した。

(2) 文書料

甲第一五号証の二ないし四、六、弁論の全趣旨によると、原告植田たつ子が、文書料金五二〇〇円を支出したことが認められる。

(3) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、その結果、原告植田通孝の本人尋問の結果により認められる原告植田たつ子の心情、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により原告植田たつ子に生じた固有の精神的損害を慰謝するには、金四五〇万円をもってするのが相当である

(4) 小計

(1)ないし(3)の合計は金二六二七万三六〇二円である。

(二) 過失相殺

争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する亡旭の過失の割合を五〇パーセントとするのが相当であるから、過失相殺として、原告植田たつ子の損害から右割合を控除する。

したがって、右控除後の金額は、次の計算式により、金一三一三万六八〇一円となる。

計算式 26,273,602×(1-0.5)=13,136,801

(三) 小括

原告植田たつ子の損害のうち金一九九一万二三三〇円がすでに填補されたことは当事者間に争いがない。

したがって、過失相殺による控除後の金額は、すでにすべて填補済みであるというべきである。

なお、同原告が本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であるが、同原告の損害はすべて填補されているから、同原告の弁護士費用の請求も理由がない。

3  原告柴田雅子、原告井上泉の各請求

(一) 損害等

(1) 相続分

原告柴田雅子、原告井上泉は、いずれも亡旭の子であるから(子は三名)、前記亡旭の損害の六分の一に相当する金七二五万六一三四円をそれぞれ相続した。

(2) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、その結果、原告植田通孝の本人尋問の結果により認められる原告柴田雅子、原告井上泉の心情、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により右各原告に生じた固有の精神的損害を慰謝するには、それぞれ金一五〇万円をもってするのが相当である。

(3) 小計

(1)及び(2)の合計は金八七五万六一三四円である。

(二) 過失相殺

争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する亡旭の過失の割合を五〇パーセントとするのが相当であるから、過失相殺として、原告柴田雅子、原告井上泉の各損害から右割合を控除する。

したがって、右控除後の金額は、次の計算式により、金四三七万八〇六七円となる。

計算式 8,756,134×(1-0.5)=4,378,067

(三) 小括

原告柴田雅子、原告井上泉の各損害のうち、それぞれ金五〇二万円がすでに填補されたことは当事者間に争いがない。

したがって、過失相殺による控除後の金額は、すでにすべて填補済みであるというべきである。

なお、右各原告が本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であるが、右各原告の損害はすべて填補されているから、右各原告の弁護士費用の請求も理由がない。

4  原告植田通孝の請求

(一) 損害等

(1) 相続分

原告植田通孝、亡旭の子であるから(子は三名)、前記亡旭の損害の六分の一に相当する金七二五万六一三四円を相続した。

(2) 葬儀費用等

原告植田通孝の本人尋問の結果によると、亡旭の葬儀費用等を同原告が負担したことが認められる。

そして、亡旭の年齢、職業、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある損害として被告らに負担させるべき葬儀費用を金一二〇万円とするのが相当である。

(3) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、その結果、原告植田通孝の本人尋問の結果により認められる同原告の心情、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件事故により同原告に生じた固有の精神的損害を慰謝するには、金一五〇万円をもってするのが相当である。

(4) 小計

(1)ないし(3)の合計は金九九五万六一三四円である。

(二) 過失相殺

争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する亡旭の過失の割合を五〇パーセントとするのが相当であるから、過失相殺として、原告植田通孝の損害から右割合を控除する。

したがって、右控除後の金額は、次の計算式により、金四九七万八〇六七円となる。

計算式 9,956,134×(1-0.5)=4,978,067

(三) 小括

原告植田通孝の損害のうち金五〇二万円がすでに填補されたことは当事者間に争いがない。

したがって、過失相殺による控除後の金額は、すでにすべて填補済みであるというべきである。

なお、同原告が本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であるが、同原告の損害はすべて填補されているから、同原告の弁護士費用の請求も理由がない。

第四結論

よって、原告らの請求はいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 永吉孝夫)

別表

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